ブログ

私の師、故北村重憲氏(番外編4 完結)

私の後ろを歩いていた北村さんは、自分自身に言い聞かすように、こう仰いました。

北村さんは景気の上り下りを「山の登り、下り」に。

経営の中長期計画・短期計画を「歩幅の広い、狭い」に、当てはめてヒントを得たようでした。

「下りで歩幅を広げると、こんなに滑るんだな!今の景気は下り坂だ!」

北村さんは続けます。

「何が中長期だ!下り坂で足元見ていないと滑り落ちてしまうじゃないか!ビジネスも同じだ!こういう景気後退の時は足元を確認して歩幅を狭くして歩くんだ!」

「豊島くん、これからは徹底した短期戦略で行くぞ!遠くを見るな!足元見ないと踏み外すぞ、今は100年に一度の金融危機だ!ビジネスも歩幅を狭くして足元を見るんだ、分かったな!」

私「はい!分かりました!」

急に怒号に変わった北村さんの声に忙しく応えながら、私は登山道に張り出した木の幹をくぐりました。

その直後「ガーン!」という音と共に「ぐわあああああ!!」という北村さんの悲鳴が!!

何と、張り出した木の幹に北村さんが頭をぶつけてしまったのです。

「ぐあぁぁ!痛い!木があった、ぶつけた!!」

あれま!これは失礼!

私も「ここに木の幹があります!」と注意喚起すれば良かったのに、北村さんの怒号の方に意識を取られて言いそびれてしまったのです、後ろの北村さんの方が背が高いですし見事に頭をぶつけていました。

しかも北村さん、遠くを見るな!足元を見ろと言ってましたが、本当に足元しか見ていなかったようです(笑)

しかし、さすがのプラス思考、痛みに悶絶しながらも「おー痛い、目に入らなくてよかった、もう少し下に当たっていたら目がやられていたよ」「いやぁ、本当に目に入らなくて良かった」と木が目に入らなかったことを、とにかくポジティブに連呼しながら(笑)途中にあった沢で休憩しました。

その沢は、水が流れておらず、雨の時だけ川になるようで、とても神秘的な場所です。

天城で見つけた神秘的な沢(イメージ)

この神秘的な沢で岩に腰かけて休憩、北村さんの痛みが引くまで待ちます。

私もひたすら平謝りです(笑)

そして、この神秘的な空間の中で、私にもリトリートならではの内面の気づきがやってきました、自然と自分が繋がった瞬間です、社会の一部「人」から自然の一部「ヒト」になったのです。

私は大きな学びを得た気がしました、北村さんからの学びと共に、自然からも叡智が下りてきた感覚とでも言うのでしょうか。

「下り坂の時こそ、上を見上げないといけない」

※あくまで人生やビジネスでの例えです、絶対に実際の登山では真似しないでください。

「おー痛え、たんこぶ出来てきたよ。。」と語る、北村さんの隣で、そんなことを思いました。

天城の大自然が、この神々しい沢が、北村さんの語りが、頭を木にぶつけてまで教えてくれた学びが(笑)すべて合わさってそう感じさせたのかも知れません。

その後、リーマンショックの下り坂は予想を遥かに上回り、伊豆での滞在型リゾート作り(ディスティネーションスパ事業)は、私たちの夢が叶うことなく打ち切りになりました。

最後に見た、北村さんの無念の表情は今でも忘れられません。

私は会社都合退職で伊豆を去り、実家のある千葉に戻り2010年に個人事業主として起業します、翌年には早速、東日本大震災がやってきましたが、その渦中で北村さんのアドバイス通り、歩幅を狭くして足元を見つつも、時に思いっきり上を見上げて様々な場所に出むきました。

地元の商工会や、ビジネス交流会、ドリプラと呼ばれるビジネスプランコンテストやセミナーコンテストに出場、様々な場所で北村さんと果たす事が出来なかった夢、日本中にリトリート施設を作る夢を語り、棚田の再生を担当することが出来たり、地元の自然学校校長になったり、地域活性化NPOの講師になったりと、様々なチャンスを掴んで行きます。

第1回(2012年、春)泥んこバレーの様子、今では全国大会が開催されるまでになったと人の噂で聞いています。

2019年の令和元年房総台風(台風15号)では、自然学校の森が壊滅的な被害に遭いましたが、躊躇なく自然学校を中断、足元の森を見て絶望するのではなく、逆に見上げて自然体験を安定的に行える場所を探し、県立公園の所長職を得ました(県立八千代広域公園・県立印旛沼公園)

その後、亀山温泉ホテルに入社、亀山温泉の新ブランド「亀山温泉リトリート」を立ち上げます。

自然ガイドをしていたこの森が。

台風でこんなになってしまいました。同じ場所、同じアングルの画像です。

※この倒木が、今ではすっかり乾燥し、亀山温泉ホテルやグランピング(glampark亀山温泉、リトリートグランピング千葉亀山)の焚き火用の薪として使用されています。

まさに人間万事塞翁が馬、どんな困難でも好転する可能性を秘めているということですね。

極めつけは「リトリートグランピング千葉亀山」の誘致です。

グランピングの導入を提案したのは、コロナ真っ盛りの2021年緊急事態宣言中です、亀山温泉ホテルには老朽化したテニスコートがあり、ここにグランピング施設を作りたいとグランピング会社さんに提案したら、見事に採用!

この老朽化したテニスコートが(これはこれで、レイクリトリートのヨガ場所や、夜は真っ暗になるので星空観察の場所として有効活用していました)

リトリートをコンセプトにしたグランピング施設に大変身!

どれも、逆境(下り坂)の時に諦めなかったり、むしろ思いっきり上を見上げたことで、次の飛躍が生まれています。

困難やトラブルも多々ありましたが(もちろん今もあります)次の一瞬には「目に入らなくて良かった!」と不幸中の幸いを見つけられるように(笑)プラス思考の訓練を続けています。

これからも、様々な逆境や下り坂がやってくると思います、天城の自然と北村さんから学んだ事を、今後も活かして行きたいと思います。

自然からの気づき×人から学んだこと×自己との対話=リトリート中の気づき。

今では、そんな風に思っています。

皆様も、リトリート中には様々な気づきがあると思います。私が天城の大自然で得た気づきのように、この奥房総の大自然で、様々な人生や仕事のヒントが得られるような時間をお届けできればと思っております。

グランピングや温泉、美味しい料理でリフレッシュしながら、皆様の心身に良い方向にいろんな反応が起こるよう、私も様々に角度を変えて、自然と触れる機会をお届けいたします。

皆様のお越しを、奥房総の地でお待ちしております(本編 第1話はこちら